消失線
これまでは直線を伸ばすことだけを考えてきましたが、では平面を無限遠まで伸延させるとどうなるでしょうか? 無限に伸びる平面と言えば、その代表格は地面です。地面を遠方まで伸ばすとどのように見えるでしょうか?
平面は多数の直線が集まってできた図形であると考えることができます。 その考えによると、平面を構成する直線のそれぞれについて、消失点の位置を調べれば、 平面を無限に伸ばしたときに発生する何かの正体を突き止められそうです。
消失線(Vanishing Line)という言葉には2つの用法があります。
- 平面を無限遠まで伸ばしたときに発生する線
- 消失点に向かう線
本サイトでは1番の意味で使用します。
消失線まとめ
平面を無限遠まで伸ばしたときに発生する直線を消失線と呼びます。 特に地面を無限遠まで伸ばしたときに発生する直線を水平線と呼びます。(水平線もまた消失線です)。 消失線には以下の性質があります。
- 平行な平面同士は、消失線を共有します。
- PPと平行な平面は、消失線を持ちません。
消失線と消失点の関係
消失線は消失点の集まりと考えることができます。消失線と消失点の間には、以下の法則が成り立ちます。
- ある平面上に存在する任意の直線は、その平面の消失線上に消失点を持ちます。ただし透視図上で消失線と平行な直線は、消失点を持ちません。
- 2つの平行でない平面を考えたとき、各平面の消失線の交点は、2平面の交線の消失点と一致します。ただし、各平面の消失線が交点を持たない(すなわち平行な)場合は、交線も消失点を持ちません。このとき、交線は透視図上で消失線と平行になります。
- ある平面が消失線を持たない場合、その平面上の任意の直線もまた消失点を持ちません。
- ある平面が消失線を持つ場合、その平面上の直線が消失点を持たないのは、透視図上で消失線と平行な場合に限られます。
- SPを通る平面上にあるすべての点は透視図上で同一直線上に現れます。
- 透視図上で同一直線上にある3点が実空間上で直線上に存在しないとき、SPはその3点を通る平面上に存在します。
1~3点透視における消失線
消失線は平面を無限遠まで伸ばしたときに発生する直線です。つまりPPと平行でない限りは、どのような面であっても消失線は存在します。 ここでは1~3点透視図法を例に取り、それぞれの図法で発生する面がどのような消失線を持つかを見ていきたいと思います。 (詳細は他の章で説明しますので、ここではこんな感じになるという雰囲気だけを掴み取っていただければ十分です)
上のスライドを見て、なにか気が付くことはないでしょうか? 消失点と消失線の関係について着目してください。
立方体の各面の消失線は、その面を構成する2辺の消失点を結んだものになっています。 ただし一方の辺が消失点を持たない場合は、消失線はその辺と平行線になります。 また、2つの辺が共に消失点を持たない場合は、面もまた消失線を持ちません。
点と面の関係を逆にして考えることもできます。消失点は常に2本の消失線の交点となっています。ここで2本の消失線に対応する2つの面の接続部となる辺(すなわち2面の交線)は、2消失線の交点を消失点に持つことが分かります。