画角を測る意義

透視図上で画角を測る方法と視円錐の描き方について説明します。 (視円錐は画角を視覚的に表現したものですので、視円錐を描くことと画角を測ることは本質的に同じ意味になります)

詳しい説明をする前に、画角を測る理由について説明しておきます。 透視図法における画角は180°未満という条件こそあるものの、基本的に描き手が好きな角度を選ぶことができます。 しかし広すぎる画角は外周部に大きなゆがみを発生させるため、特別な理由がない限りは広角の絵を避けるべきと言えます。 しかし、絵というものは漠然と描いているだけでは、広角か望遠かを判断することができないものです。 このページでは、作図的に画角を求める方法を学び、意図しない広角化を防ぐことを目指します。

広角の絵は歪む例

左図は透視図法で描いたサイコロ(立方体)です。2つのサイコロのうち、奥のサイコロは適正画角内に入っているため、ゆがみが目立ちません。 ところが手前のサイコロはゆがみにより不自然な見た目となっています。

画角の立体的解釈

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画角の立体的解釈

[Click] 鶏が先か卵が先か

条件付きではありますがSPは90°視円錐の縁に乗る性質があります。 しかし90°視円錐を求めるにはSPが必要です。では、どちらを先に決めれば良いのでしょうか?

実はどちらでも構いません。先にSPを置いて、VC-SPを半径とする90°視円錐を描いても良いですし、90°視円錐を決めてから、その縁にSPを取っても構いません。 一般的に大きな円を描くのはそれなりに大変ですので、基本的にはSPを先に取ればよいでしょう。 しかし、SPを複数取る場合は90°視円錐に合わせる必要がありますので、流れとしては、

  1. 視心(VC)と1個目のSPを任意に取る
  2. 90°視円錐(VCを中心とし、VC-SPを半径とする円)を描く
  3. 2個目以降のSPは90°視円錐の縁に取る
となります。どちらにしても円を描くのは大変ですので、すべてのSPはVCから等距離であるというルールを使えば、物差し1本でも複数のSPを作図できます。


画角の測り方と視円錐の描き方

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画角の測り方と視円錐の描き方

[Click] 画角は常に左右(上下)に分けて測る?

絵の場合は基本的に分けて測ることを推奨します。なぜなら、絵は必ずしも視心をキャンバスの中央に置かないからです。 これに対し、写真の場合は基本的に中央が視心になるので、左右または上下を分けて測る必要はなく、水平画角○度、垂直画角○度という言い方をします。


[Click] SPを作図してから絵を描き始める?

上のスライドでは、PP上に何も描かれていない状態でSPの位置を決めていますが、 一般的な作画手順はSPを定めないままラフを描き、そこからSPを逆算する方法を取ります。 PP上に描かれた物体を元に、SPの位置を求める方法については、1点、2点、3点透視の章で詳しく説明します。


90度視円錐の重要性

透視図法において消失点は文句なしに表の主役と言える存在ですが、それに対する陰の主役はステーションポイントです。 なぜならステーションポイントが無ければ消失点の位置を求めることができないからです。 ここでもう1つ重要な要素があります。それは90度視円錐です。

視円錐の表の顔は「画角を測るためのガイド線」ですが、実はもう1つ重要な役割を担っています。 それは複数の座標系を重ね合わせるツールであるということです。 座標系については少し先の節で説明しますが、簡単に言うと1枚の絵の中に異なる向きの立体を描くには90度視円錐が必要であるということです。

90°視円錐を基準とした座標系の重ね合わせ

90度視円錐上にSPが乗らない場合

上のスライドで少し説明しましたが、90度視円錐上にSPが乗らないケースが存在します。 例えば3点透視図の平面図SPは90度視円錐上に乗りません。よってこのSPを使って視円錐を描くことはできません。

透視図上にSPを作図する場合、そのSPには対になる消失線が必ず存在します。 平面図SPに対応する消失線は水平線であり、側面図SPに対応する消失線は垂直線です。そして消失線の上に視心(VC)が乗っているとき、対応するSPは90度視円錐上に乗ります。 3点透視図の平面図SPが90度視円錐の上に乗らない理由は、水平線の上に視心が乗っていないからです。

90°視円錐に合わせた1点透視図 90°視円錐に合わせた3点透視図


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