無限遠点の導入

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無限遠点の導入

[Click] Page7の補足

3本目の平行線に対して無限遠点Bを作らない理由として、概念の複雑化を挙げていますが、本当の理由は別にあります。 仮に無限遠点Bを作ってしまうと、中央の直線と無限遠直線が2つの交点を持つことになるため、法則1に反してしまいます。 よって1本の射影直線に対する無限遠点は1つしか存在しません。


平行線と放射線

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平行線と放射線

[Click] SPを始点とする放射線は?

上のスライドでは、SP平面上の点を始点とする放射線について述べましたが、SPそのもの(目の位置)を始点とする放射線の場合は、どのようになるのでしょうか? 消失点の章でSPを通る任意の平面は、PP上では直線として投影されることを説明しましたが、同じ理由でSPを通る直線は点として投影されます。つまり放射線を13本引いたとすると、PP上では13個の点として投影されます。


[Click] 空間上の平面と画面(PP)の双対性

透視図の定義は単純であり、SP-P-P'の3点を直線で結ぶだけですので、PとP'の関係を入れ替えても成り立つことが分かります。 たとえば、地面の上に描かれた円がPP上で放物線になるとき、地面とPPの位置を入れ替えれば、地面上の放物線がPP上で円として投影されることになります。 この現象を一般化すると、空間上のある平面について、その平面上の図形AがPP上で別の図形Bとして投影されるとき、その逆パターンであるBがAとして投影されるケースが必ず存在することを意味します。

放射線と平行線の場合も同じであり、地面上の平行線がPP上で放射線になるならば、両者を入れ替えることにより地面上での放射線がPP上で平行線になるケースが存在することが分かります。 上のスライドの最終ページを例に取ります。PPを地面、地面をPPだと思ってください。透視図法では、視心はPPと直交するルールがありますので、必然的に視心は真下を向きます。 このとき3本の平行線は地面の上に描かれたものと解釈することになり、点Fを始点とする放射線はPP上の直線と考えます。すると点Fは消失点であることが分かります。 そのように考えると、単に地面上の平行線が消失点に収束する現象を表しているだけであり、特段驚く性質でないことが分かります。


放射線と集中点

次のスライドでは平面上に描かれた放射線が観測者の立ち位置によって、どのように見た目を変化させるかを追っていきます。特に集中点が観測者の後方(または同一の奥行)に回ったときの性質を注意深く見ていきます。

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放射線と集中点

[Click] この性質の使い道

観測者の後方(または同一の奥行)を始点とする直線を引く際に役に立ちます。 スライドでは放射線を例に取っていますが、1本の直線を引きたい場合でも利用できる性質です。 具体的な用途としては、観測者の後方(または同一の奥行)に光源がある場合の影の作図が挙げられます。


[Click] 立体的な放射線は?

スライドでは平面上に放射線を描いていますが、仮に3次元的に放射線を描いたとしても性質は変わりません。例えば、放射線の集中点が観測者と同一の奥行にあるときは、すべての直線はPP上で平行線になります。(空間的にPPと平行な直線はPP上で無限遠直線となるので、実質的には投影されません)

また集中点が観測者の後方にある場合は、やはりVCを支点として180°反転した位置に集中点が発生し、3次元的にどのような向きの直線であってもその点を通ります。


[Click] 集中点の描く軌跡

スライドでは観測者の移動に伴って、集中点が透視図上でVCに向かうと説明していますが、これは集中点の相対的な移動方向が空間的に見て視心と平行な方向であるからです。 移動方向を変えれば、収束する消失点の位置も変わります。



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