フィルムと撮像素子

カメラを使用している人であれば、画角の代わりに焦点距離を持ち出した方が分かりやすいかもしれません。 画角が何度と表現する代わりに焦点距離が何mmという言い方をします。

カメラの画角を考えるには、フィルムの話から入らなければなりません。 カメラのフィルムはデジカメが普及する前は35mmフィルムと呼ばれるものが使用されていました。 (現在でも使用されていますが、需要が激減しています)

アナログフィルムとデジタル撮像素子

このフィルムは縦24mm×横36mmの大きさを持っており、デジタルに移行した現在でもこの規格が引き継がれています。 しかし、デジタル一眼レフにおいて24mm×36mmの撮像素子を持った機種は執筆時現在でも10万円以上する高級機種に限られます。 これは撮像素子そのもののコストが高いこともありますが、合わせてレンズを含む光学系も大型化するためです。 ではコンパクトデジカメや携帯電話に付属のカメラはどうなっているかというと、 小指の先に乗る程度の極小の撮像素子しか搭載されていません。(3.6mm×4.8mm等)。 基本的に撮像素子が大きいほど画質が良くなるため、高級機種になるほどサイズの大きいものが使用されます。

焦点距離と画角の関係

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焦点距離と画角の関係
※焦点距離および画角に関する詳しい情報は数学の章で扱っています。

35mm換算とは

カメラにおける画角は、焦点距離とフィルムサイズ(センサーサイズ)に依存します。 アナログカメラ全盛期は、フィルムサイズがほぼ1規格(24mm×36mm)に絞られていたため、 焦点距離を定めるだけで、画角を求めることができました。


デジカメにおける撮像素子のサイズ
※APS-Cはメーカーによってサイズが異なります。

ところが、デジタルカメラが普及して以来、複数のセンサーサイズ規格が生まれ、 昔のように焦点距離だけで画角を決めることが困難になりました。 しかし、従来のカメラユーザーは焦点距離と画角が1対1で対応することを望んでいます。 そこで実際のセンサーサイズがどうであれ、24mm×36mmのセンサーが載っているものとして扱う方式が普及しました。 これを「35mm換算(35mm equivalent)」といいます。

例えば、2.4mm×3.6mmのセンサーに対して焦点距離が5mmであったとすると、35mm換算では実際の焦点距離の値を10倍し、50mmとなります。 しかしセンサーの縦横比は必ずしも2:3の比率にはなっていませんので、その場合は対角線の長さの比率を使って計算します。 正確を期すのであれば、カメラメーカーが発表する倍率を使って計算したほうが良いでしょう。


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