はじめに

この節では点光源による影がどのような性質を持つかについて、作図法と併せて解説していきます。

スライドでの説明を予定していますが、とりあえずは要約のみを掲載しておきます。

点光源による影の作図


観測者の8マス前方に立方体が配置されており、点光源がA,B,Cのいずれかに配置されている場合の影の作図例を以下に示します。 点Aは観測者の8マス前方、点Bは観測者と同一の奥行、点Cは観測者の8マス後方です。 またA,B,Cは共通して、観測者から左に2マス、上に2マスの位置にあります。 つまり正面図上では、光源は観測者の左上45°方向にあり、影の集中点(※)は左下45°方向にあります。


※「陰影の発生原理」のスライドでは「見かけの消失点」と呼んでいましたが、ここでは「影の集中点」と呼ぶことにします。

光源が観測者の前方 (A)

光源が観測者の前方にある場合は、「陰影の発生原理」の節で説明した通りの作図法となります。 つまり透視図内に光源を置き、光源を始点とした光線(赤い線)を描くことで影の頂点を求めます。 影の集中点は光源の真下に発生します。各集中点の位置はVCから見て、正面図上の矢印方向にあります。

点光源による影の作図(光源が前方)

光源が観測者と同一の奥行 (B)

光源が観測者と同一の奥行にある場合は、光源を始点とした光線(赤い線)が透視図上で平行線となります。 同様に地面上に引く影の線(黒い線)も平行線となります。 線の向きは正面図上の矢印の向きと一致します。

点光源による影の作図(光源が観測者と同一の奥行)

[Click] 光源が観測者の真上にある場合は?

光源が観測者の真上にある場合は、光線と影の線が共に垂直線となり、作図的に交点を求めることができなくなります。これは両者がSPを通る平面上に乗ってしまうために起こる現象です。

回避策として、光源を左右のどちらかにずらす手があります。ずらした光源で影の頂点の奥行を求めれば、本来の光源による横位置と合わせて、影の頂点座標を求めることができます。

なお真上の光源に対して、地面に置かれた1点透視や2点透視の直方体が作る影は、観測者からは死角になるため見えません。


光源が観測者の後方 (C)

光源が観測者の後方にある場合もまた、前方にある場合と同様に透視図上に集中点が発生しますが、その位置はVCを支点として180°反転します。 (数学 - 射影幾何学の節に詳細な解説があります)

点光源による影の作図(光源が後方)

3DCGによる影の作図

下図は同条件による3DCGのレンダリング結果です。透視図法による作図と同じ結果になっていることが確認できます。

条件3DCG透視図法
A 3DCGにおける影の作図 点光源による影の作図(光源が前方)
B 3DCGにおける影の作図 点光源による影の作図(光源が観測者と同一の奥行)
C 3DCGにおける影の作図 点光源による影の作図(光源が後方)


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