階段の描き方

「長崎市は坂の多い街ですが、では上り坂と下り坂はどちらが多いでしょう?」という質問をされたことはないでしょうか? 上り坂は上から見れば下り坂であるため両者は同数である、が模範回答となりますが、階段の場合も同じことが言えます。 これから描こうとしているのは、上り階段か、下り階段か。 本来であれば無意味な思慮ですが、パースを扱う上では一考の余地があります。 この節ではパースで階段を描く方法について述べますが、混乱を避けるため上り階段と下り階段を次のように定義しておきます。

画面奥に向かって上る場合を上り階段とし、下る場合を下り階段とする。

階段の方向 これらを区別する理由は、傾斜消失点の発生位置が異なるためです。上り階段は上方、下り階段は下方に発生します。 左図のような折り返し階段の場合は、一方が上りでもう一方が下りとなります。

一点透視で上り階段を描く

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一点透視における上り階段の描き方

下り階段は?

下り階段も上り階段と同じ手順で描くことができます。違いは消失点の位置だけです。下り階段の場合、SPから見て斜め下方向に消失点が発生します。

1つ注意すべきは、一般的な下り階段は通常の画角では見えないということです。下図のように傾斜35度の階段に対して、画角が上下30度しかない場合は、観測者の立ち位置をどこに置いても、階段のステップは視野に入りません。 視線が地面と平行である限りは2点透視であっても状況は同じです。この画角で階段を見るには、観測者の視線を下に向けるしかありません。すなわち俯瞰2点透視または俯瞰3点透視のいずれかを選択しなければならないということです。(一般的ではないですが俯瞰1点透視も選択肢としてはありえます)

なお、階段の傾斜が緩い場合や画角が広い場合、あるいは鉄骨階段のように裏側から見える場合は、水平視線の1点または2点透視でも描画できます。


下り階段

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