透視図の定義による作図

透視図は、透視投影という投影方法によって作られるものであることを説明しました。 しかし、具体的な作図法はまだ示していません。次のスライドでは透視図の定義に忠実に従った作図法を紹介します。

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透視図の定義による作図(平面図と側面図を併用)

たかが箱1個描くために大変な作業量であると感じられたかもしれません。 ここで紹介した作図法は、透視図法の中でも最も原始的な方法であり、透視図法の代名詞ともいえる消失点を使わずに作図ができる反面、実寸比率の平面図と側面図を必要とするため、作業効率は非常に悪いです。また広い空間を描くには適していません。

この作図法は手間がかかり過ぎるため、実際の作画には向きませんが、作図方法が原始的であるが故に透視図の原理を理解するには適しています。 今後、より効率的な手法を紹介していきますが、基礎ができてこその応用ですので、1つ1つ確実に理解を深めていきましょう。

足線法について

このページの作図法は、これまで「足線法」として紹介していました。しかし、本来の足線法は平面図と消失点を併用する方法を指すようで、混乱を避けるために表現を変えることにしました。

足線法では消失点を利用するため、側面図が不要であり、結果として作図効率が劇的に改善します。 足線法による作図法については、1点透視、2点透視の章(立方体の描き方)で紹介していますので、そちらをご参照ください。


足線法の作図原理


[Click] 透視図法の用語について

上図にある通り、「視点」は観測者の目の位置を指し、「立点」は観測者の足元を指します。しかし、平面図上では両者は同じ位置にプロットされることから、本サイトでは「視点」と「立点」を厳密に区別せず、正確には「視点」と書くべきところで「立点」という用語を使っている場合があります。 同様の理由で「視線」の代わりに「足線」という用語を使うことがあります。

その理由として、「視点」や「視線」という言葉は日常用語としての用法があり、専門用語としては使いにくい点が挙げられます。 例えば、本サイトでは「視心(VC)」のことを「視線の向き」と表現していることがありますが、ここでいう視線は「観測者の目線の方向」の意味であって、上図にあるような「視点と物点を結ぶ線」の意味ではありません。



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