1.カメラ
撮像素子(image sensor)
銀塩カメラ(アナログカメラ)でのフィルムに相当するもので、デジタルカメラの主要構成要素です。 人間の目でいえば網膜が、透視図法ではPPがこれに相当します。 レンズで集光された光が撮像素子に当たることで、画素データが生成されます。
トリミング(trimming)
写真において画像の一部を切り抜くことです。切り抜いた画像は加工前の状態と比べて画角が狭くなりますが、パースのかかり方に変化が生じるわけではありません。 切り抜く箇所のみをフレーム内に収めて撮影した方が画質面で有利なため、原則としてトリミングはしないほうが良いですが、 撮影状況によってはトリミングを前提とせざるをえない場合もあります。
あおり撮影(tilt-shift photography)
通常の撮影では、撮像素子は光軸に対して直交する向きに配置されていますが、直交状態を崩して撮影するとパースの掛かり方に変化が生じます。 撮像素子と光軸が直交しない撮影をあおり撮影と呼びます。 透視図法的には、本来3点透視図になるはずの像が2点透視図に置き換わります。また元が2点透視図であった場合は1点透視図になります。
透視図法におけるPPは視心と直交する向きに配置するルールですが、ハード的に考えると表現が逆であり「PPをある向きに配置すると、それと直交する向きが視心となる」が正解と言えます。 この規則によると、視心はカメラレンズの向いている方向でも光軸の向きでもなく、撮像素子平面の向きにのみ依存することになります。
画角(angle of view)
カメラにおいて、写真に写る範囲(レンズが捉える範囲ではなく、イメージセンサが捕捉できる範囲)を角度で表したものです。 長方形の写真において、水平、垂直、対角線の3方向は、それぞれ異なる画角になります。透視図法ではPPに収まる範囲を指します。
35mm換算焦点距離(35mm equivalent focal length)
カメラレンズが持つ実際の焦点距離に対して、イメージセンサが35mm判(24mm×36mm)であったと仮定した場合の焦点距離を指します。 例えば、実焦点距離が5mmかつイメージセンサが2.4mm×3.6mmのカメラの場合、35mm換算焦点距離は50mmになります。
2.レンズ
焦点距離(focal length)
レンズにおいて、焦点距離とは主点から焦点までの距離を指します。
主点は光学的な中心であり、(被写体が十分遠いと仮定すると)焦点はイメージセンサを配置する位置です。
よって焦点距離が分かれば、画角を近似的に求めることができます。
光軸(optical axis)
光学系は回転対称な特性を持っているのが通例であり、光軸はその対称軸(中心軸)を指します。
簡単に言えば、円形のレンズに対して、その中心を貫くラインのことです。
透視図法では視心がこれに該当しますが、あおり撮影の場合は撮像素子と視心が直交しないため、光軸と視心は一致しません。
主面(principal surface)
光軸に平行な光の束がレンズに入射したとき、光はスネルの法則によって、レンズに入るときと出るときの2回屈折します。 しかしレンズ内での光の経路は重要でないため、1回の屈折に置き換えて考えれば、計算を単純化できます。 このときの見かけ上の屈折位置を結んだ面を、主面と呼びます。
主点(principal point)
主面と光軸の交点です。ここが光学的な中心であり、透視図法におけるステーションポイントとは、厳密に言えばレンズの主点位置を指します。
焦点(focal point)
光軸に平行な光がレンズに入射した際に、屈折後の光が1か所に集まる点です。 実際のレンズには収差というものがあり、完全に1か所に集めることはできませんが、理想的には1か所に集まっているものとして扱います。 なお光軸に平行でない光は、焦点を通りませんので注意してください。
撮像素子は焦点より後方に配置しますが、被写体が十分遠ければ焦点から撮像素子までの距離はごくわずかなため、撮像素子は焦点位置に配置されると考えて概ね間違いではありません。
収差(optical aberration)
レンズは人間の思惑に反して、理想的な結像を実現してくれません。 ここで理想的な結像とは、正対した平面の被写体を撮影したとき、平面上の図形がイメージセンサ上でも同じ形状(相似)として写ることを指します。 理想に対するずれのことを収差とよび、要因別に○○収差という個別の名称が使われます。 収差が存在すると、像がぼけたり、にじんだり、歪んだりします。
収差は「本来は発生しないはずのものが発生する」のではなく、理論上「発生するはず」だが容易に取り除くことができないずれを指します。 カメラメーカー(レンズメーカー)は収差を取り除くことに腐心していますが、それでも完全に取り除くことはできず、収差を持ったまま製品として出荷されます。
透視図法や3DCGにおいては、収差は意図的に組み入れない限り発生しません。