魚眼レンズの射影方式
ここでは魚眼レンズの射影方式について、数学的にどのように書き表すことができるかを考えます。
直線が楕円になる理由
4つの射影方式のうち、正射影と立体射影に関しては、空間上での直線が画面上で楕円として投影されます。 (等距離射影と等立体角射影については、研究が済んでいないため、図形の形状を特定できていません)。 正射影と立体射影において、直線が楕円になる理由を簡単に説明します。
空間上での直線とSPを結ぶ図形は三角形になりますが、直線が無限に長い場合は平面になると解釈できます。 魚眼の球画面上に投影される図形は、この平面と球面が交差してできる図形であり、言い換えると球を平面で切断したときに発生する図形であると言えます。 球はどのような平面で切断しても、その断面は円になります。よって球画面上に投影される図形は円になると断定できます。
ここから先は各射影方式について見ていきます。正射影の場合は球面に投影された円を平行投影で平面に映し出すため、その形状が楕円になることは明らかです。 しかも楕円の長軸と180°視円錐の直径が一致することも直観的に分かります。
立体射影に関しては、球面上に投影された円を南極をSPとする透視投影によって投影するわけですから、必然的にその投影結果は円錐曲線になります。 ここで投影対象となる円は球の断面であり、球全体が観測者の前方にいることから、断面の円も観測者の前方にいることが分かります。 よって、投影される図形は楕円に限定されます。SPは南極であり、この点において球と接しているため、切断面が南極を含む場合は放物線条件を満たすことになりますが、 この場合はSPを通る平面に円全体が含まれるため、放物線ではなく直線になります。
以下は正射影に限定されますが、解析的手法を用いて楕円になることを示したものです。原点をSP、平面z=0をPPとしています。
※m=tanθとおけば、b=cosθになります。